くらげバンチにて連載中のおおのこうすけ作『極主夫道』を読みました。それはそれは面白おかしき漫画でございました。笑うわこんなもん。というわけで、ご紹介したいと思います。
重大なネタバレなどは避けているので、未読の方もどうぞご安心ください。まあ、この漫画は一話完結型のギャグマンガであるため、そうそうばらすネタもないのですが。
しかし、作中に描かれるギャグの内容はちょ~っとだけ書いております。この漫画の面白さを伝えるためには必要だと判断した次第です、ご容赦くださいませ。
さてこの『極主夫道』、普通にすごいです。「次に来るマンガ大賞2018 WEB漫画部門」第3位、「WEBマンガ総選挙2018」第9位!私なんかが紹介するまでもなく、ご存じの方は大勢いらっしゃることでしょう。でも紹介したい。面白いんだもの。
これが『極主夫道』だ!
極主夫道とは読んで字のごとく、極道モンが専業主夫になっちゃうお話です。もう笑えませんか、ニヤついちゃいませんか。
主人公はその名も「不死身の龍(たつ)」。一晩でヤクザの事務所を十か所もつぶして回ったというそら恐ろしい男で、ヤクザからも恐れられるヤクザ・オブ・ヤクザです。
そんな彼が。遠山の金さん、もしくはデビッド・ベッカムよろしく上半身の半分近くを刺青に覆われた彼が、エプロンをしてエコバック片手にスーパーへお買い物に行っちゃうんです。なぜかかたくなにグラサンと黒スーツは着用したままです。左目には傷跡。怖い。もはや不審者です。なのに手にした怪しげなスーツケースの中身はキャラ弁なんです。やだもう面白い。
そんな彼ですが、足を洗ったとはいえもとは極道の身、街を歩けばたびたび極道者に絡まれてしまいます。石を投げればヤクザに当たる、なんと治安の悪い街なのでしょう。そんな彼らを相手に、龍は堅気の庶民を守るため仁義なき戦いに挑む……のではありません。龍が貫くのはあくまでも主夫道です。
舎弟の雅を除いて、龍が誰かに暴力をふるうことはありません。脅されても殴られても、彼は主婦として立ち向かいます。立ち向かうというか、主夫業に巻き込んでます。右の頬をぶたれたら左の頬の代わりにピーラーを差し出す、それが主夫道なのです。たぶん。
舎弟の雅を殴るのも、彼が食べ物を粗末にしたことなどを兄貴として叱るときに殴るのです。龍は専業主夫になってもなお筋の通ったフキのごとき男というわけです。
顔芸が好き
『極主夫道』の面白さは、キャラクターたちの顔芸にもあります。
主人公不死身の龍はとにかく顔の影が濃い。なぜ明るいお店の中でも楳図かずおのイラストばりに陰影が濃くなるのか。その秘密が明かされることはおそらく永久にないでしょう。
そしてもう一つ、龍はとにかく黒目がちっちゃい。常にガン開きの瞳孔で相手を見つめます。なんなら白目向いてる時もあります。この格好でこの眼差しで、ちびるなというほうが無理があるでしょう。どうやら本人は普通でいるつもりのようですが、笑った時の彼はもはや凶悪犯罪者にしか見えません。
しかし、龍のこの顔を見てビビるのはヤクザや若者ばかりで、近所のおばちゃんたちは全く怖がらずに接しているところも面白いです。やっぱりどこの世界でもおばちゃんは最強のようです。
でも個人的に一番好きなのは、初めて龍を見た時の一般の人々のリアクション顔だったりします。ヤクザ然とした龍を見ると、笑顔の店員さんもみんな一様に口を真一文字に結んで真顔になっちゃうんです。実際に経験したらああいう顔になってしまうのかもしれません。何の感情もうかがえない、それはそれはシュールな顔なのです。
シリアスもあるかも?
そんな抱腹絶倒間違いなしのギャグマンガ『極主夫道』ですが、龍は腐っても元極道。過去には相当な数のヤクザを相手に切った張ったの大立ち回りを演じたようです。
まだコミックスは4巻まででギャグまっしぐらで続いていますが、いつかは龍の過去編、すなわちシリアス編が始まるのではないかと一人ワクワクしております。今でこそ作った料理を様々な角度から撮影しSNSにアップするほどの女子力の塊・龍ですが、龍(たつ)が如く的な胸アツバトルが繰り広げられるのを見れる日がいつか来るかもしれません。いつか。龍の左目の傷跡ができた理由も気になるところです。
それに、専業主夫ということはつまり結婚して奥さんがいるということで、当然物語にも登場しています。どうやら彼女もなかなか破天荒な方の様子。奥様との馴れ初めも非常に気になるところです。ひょっとしたら世のお姉さんたちがキュンキュンしてしまうようなラブロマンスがあったのかもしれないかもしれないかも……。もう気になって夜しか眠れません。
そんなこんなで。社会の波にもまれ、人間関係に悩み、終わらぬ宿題課題に頭を抱え、将来に不安を抱き、笑顔を忘れているそこのあなた。そうでないあなたも。『極主夫道』は素敵な笑いをあなたに届けてくれることでしょう。おすすめです。
最後に、このような駄文に最後までお付き合いくださりありがとうございました。
それでは、またどこかで。